力と運動(1)
今、右図のような質量が\(m\)の物体に軽くて伸びない糸をつけて、その糸を上方に持ち上げる運動を例に運動方程式を立てていきましょう。
このような場合の常套手段として、まずある一つの物体に着目します。この例では、物体に着目します。手には着目しません。あくまでも物体のみに着目します。

次に、着目したこの物体に対して、はたらく力を図示していきます。物体には必ず重力がはたらきますので、鉛直下向きに重力\(mg\)を描き入れます。
さらにこの物体に接触しているものを見つけます。今、糸しか接触していませんから、接触している点から力がはたらいているはずです。この物体に重力しかはたらいていない場合は、落下していきますが手で糸を持っている限り落下しないので、重力とは逆向きに張力\(T\)がはたらきます。
もしこの物体が静止しているならば、重力\(mg\)と張力\(T\)の大きさは等しくなります。
では、初めに提起した上方に糸を引く場合の運動方程式はどのようになるでしょうか。

そのために、まず座標軸をとります。座標軸の取り方は自由ですが、ここでは上方に引くことから上向きを正とします。このとき、加速度は正の方向にはたらきます。
運動方程式は\(F=ma\)ですから、加速度の向きが決まれば\(ma\)は決まります(加速度が負なら\(-ma\)となるだけです)。あとは残っている力を求めればよく、この例では正の方向に張力\(T\)、負の方向に\(mg\)がはたらいていますから、力は\(T-mg\)となります。したがって、立式する運動方程式は
\[\large{ma=T-mg}\]
となります。ちなみにこのときの加速度は、この運動方程式から
\[\large{a=\frac{T-mg}{m}=\frac{T}{m}-g}\]
です。

